全国青色申告会総連合事件(東京地判平24・7・27) 65歳まで継続雇用の期待あったと雇止め無効求める 契約更新の慣例認められず
定年後の再雇用期間が満了し雇止めされた社団法人の嘱託職員が、採用時の説明などから65歳まで契約更新する慣例があったと主張し、労働契約上の地位確認などを求めた。東京地裁は、契約の更新基準が定められていないこと、平成18年の再雇用制度導入後に初めて定年を迎え、運用の慣例がないことから継続雇用に合理的期待は認められないとして、請求を棄却した。
基準自体なかった 導入後初の定年者
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
労働者Aは、甲社団(申告納税制度の確立と小規模企業の振興に寄与することを目的とする権利能力のない社団)との間で、平成3年5月に正職員としての雇用契約を締結したが、21年10月16日、Aが60歳定年に達したことから、契約期間を同月21日より22年10月20日までの1年間とする旨の再雇用契約を締結した。
甲社団には、平成3年4月1日施行の就業規程(就業規則と同義)において、「定年は満60歳とし、定年に達した日の翌日をもって自然退職とする」、「嘱託職員として再雇用」することがあり、「雇用契約は当該事業年度毎に更新する」、「満65歳を超えた者は、原則として雇用契約を結ぶことはできない」との定めがあった。
その後、甲社団では就業規程を改訂し、平成18年4月1日施行の就業規程22条において、定年退職後の再雇用について以下のように定めた。
(1)定年は満60歳とし、誕生日の翌日をもって退職とする。ただし、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者について再雇用する。①健康状態が良好で、勤務に支障のないこと、②引き続き勤務することを希望していること、③無断欠勤がないこと、④過去3年間の平均考課がC以上であること。…
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