専修大学事件(東京地判平24・9・28) 頸腕症で労災受給、休職が3年超え打切補償し解雇 使用者負担なく無効と判示
2013.02.25
【判決日:2012.09.28】
頸腕症で労災認定された職員の休職期間が3年を超えたため打切補償を支払い解雇し、地位不存在確認を求め提訴、職員も反訴した。東京地裁は、打切補償の解雇制限解除は、療養の長期化による使用者の負担軽減が目的で、労災保険の療養補償給付受給者には使用者の負担を考慮する必要はないと判示。傷病補償年金のみなし規定と同様の定めもなく、解雇無効とした。
労基法の給付せず 傷病年金と異なる
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
学校法人Yは、平成9年4月1日、Xを雇い入れ、教務部入試事務課に配属した。
Xは、平成15年3月13日、頸肩腕症候群により当面2カ月間の休業通院加療を要するとの診断を受けた。その後も欠勤が続き、16年6月3日から1年間の私傷病休職に付され、休職中に就労可能の診断を受け復職したが、18年1月17日から長期欠勤し、19年3月31日、Yを退職した。
平成19年11月6日、中央労基署長は、15年3月20日の時点で本件疾病は「業務上の疾病」に当たると認定し、Yは、19年3月31日に遡って、Xを復職させた。
そして、Xの平成18年1月17日からの欠勤について、災害補償規程所定の欠勤期間3年が経過したが、Xは、就労できない状態が続いたため、21年1月17日から2年間の休職に付した。
Yは、平成23年9月1日、Xに対し、復職を可能とする客観的資料の提出を求めたが、Xは応じなかった。…
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平成25年2月25日第2910号14面 掲載