NTT東日本―北海道ほか事件(札幌地判平24・9・5) 勤続5年超の契約社員が派遣会社へ転籍拒み雇止め 継続性なく更新期待はムリ
全ての契約社員を派遣会社に転籍させ、同一業務で受け入れる「雇用替え」について、勤続5年余の3人が転籍に応じず雇止めされ地位確認を求めた。札幌地裁は、業務拠点の集約化が進み毎年数人を雇止めするなど、雇用継続の合理的な期待はないと判示。解雇権濫用法理を類推適用しても、処遇や労組との協議手続きなどから雇止めを正当化する合理的理由があるとした。
拠点集約で業務減 毎年数人打切りに
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xら3人は、Y1との間で期間の定めのある雇用契約を締結し、勤続年数5年余、更新回数5回(期間途中に労働条件の変更で更新したものを含めると7回)の者である。
Y1は、Xらを含む契約社員669人について、派遣会社であるY2に転籍させたうえで、従前と同一の業務に派遣社員として受け入れるという施策(以下「本件雇用替え」)を決定し、説明会を開いて、契約社員に対し、契約期間途中の12月末をもって解雇の扱いとし、1月からはY2と契約を締結すること、業務内容の変更や処遇の低下はないこと、転籍に応じない場合は、3月末の期間満了をもって雇止めになることを伝え、これに対し、Xらは転籍に同意する書面、Y2との雇用契約書等に署名捺印して提出した。
Xらは、3月になって、雇止めは許されないと主張し、転籍する旨の意思表示は、錯誤により無効である、または、詐欺ないし強迫による意思表示であるから取り消すとして、Y1との間で雇用契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、Yらに対し、雇止めができないことを知りながら、雇止めする旨告げて、転籍に応じさせ、精神的損害を与えたとして慰謝料を支払うよう求めた。…
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