日本精工事件(東京地判平24・8・31) 派遣契約終了で日本人のみ直接雇用、日系人が提訴 正社員化の基準説明すべき

2013.03.11 【判決日:2012.08.31】
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 機械部品の工場で働く日系ブラジル人12人が、偽装請負など違法派遣であり、派遣先に対し労働契約が成立していたなどと提訴。東京地裁は、黙示的にも契約は不成立だが、日本人のみを直接雇用しており、その選別基準を説明したり、再就職先のあっせんなど道義的責任を果たさず信義則違反と判示。帰化した者も存在し、精神的苦痛に対し50万~90万円の支払いを命じた。

信義則違反で賠償 道義的責任あった

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、派遣元会社に雇用され、平成18年11月10日以前は業務処理請負の従事者として、それ以降は派遣労働者として、被告の工場等において就業していた原告らが、被告と派遣元会社との間の労働者派遣契約の終了に伴って就業を拒否されたことについて、主位的に、①派遣元会社と被告との間の契約関係が請負契約であった当時の原告ら、被告および派遣元会社の三者間の契約関係は、違法な労働者供給であり、原告らと被告との間で直接の労働契約関係が成立しており、労働者派遣契約に変更された後も、原告らと被告との間に直接の労働契約関係が継続していたこと、②そうでないとしても、原告らと被告との間には、黙示の労働契約が成立していたこと、③被告には、派遣法40条の4に基づき、原告らに対する雇用契約申込義務があったから、当該義務に基づく労働契約が成立していたことを主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求め、予備的に、④被告には、原告らに対する条理上の信義則違反等の不法行為が成立すると主張して、各200万円の慰謝料等の支払いを求めた。…

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平成25年3月11日第2912号14面 掲載
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