マンナ運輸事件(京都地判平24・7・13) ドライバーが法定休日の兼業不許可とされ賠償請求 本業の労務提供に支障なし
トラック運転者が、勤務の合間や法定休日などに希望した4度の兼業申請を拒否され損害賠償を求めた。京都地裁は、過労防止の点から次の勤務までの休息が6時間を切ったり、改善基準告示の月293時間を超えるような兼業を禁じた規定の合理性は認めたが、業務への支障を判断せず単に休日を理由に不許可としたことは、兼業を不当かつ執拗に妨げる対応で、30万円の賠償を命じた。
過労防止は合理的 30万円支払い命ず
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、貨物自動車運送業等を目的とする株式会社Yの従業員Xが、アルバイト就労の許可を数度にわたって申請したがYがいずれの申請も不許可としたのは違法であるとして、Yに対し、アルバイト収入見込額および慰謝料の賠償を求めた事案である。
Xは、平成4年2月1日にYに準社員として入社し、それ以来大型貨物自動車の運転手として勤務している。勤務時間は午後1時から午前0時ころまでとなっていた。
Yにおける兼業の許可基準が平成20年2月7日に定められ、兼業を不許可とする場合を①兼業が不正な競業に当たる場合、②営業秘密の不正な使用・開示を伴う場合、③従業員の働き過ぎによって、人の生命又は健康を害するおそれがある場合、④兼業終了後Yへの労務提供開始までの休息時間が6時間を切る場合、⑤兼業の態様がY又は従業員の社会的信用を傷つける場合、⑥その他前各号に準ずる場合とされた。
Xは、Yに対し、D社での構内仕分け作業のアルバイト就労を3度、ラーメン店での接客や皿洗いなどのアルバイト就労を1度、計4度の兼業を申請した。
D社での就労時間は、午前8時30分から午後0時まで(第1申請)、午前1時から午前5時まで(第2申請)、日曜日午前10時から午後2時まで(第3申請)であった。Yは、Xは夜間も走行するトラック運転手として時間外労働をしており、…
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