セントラルスポーツ事件(京都地判平24・4・17) 複数店舗を統括管理、決裁権なくても管理監督者? 最終決定権限は必要でない
複数のスポーツクラブを統括管理する「エリアディレクター」が、人事などの決裁権がないことを理由に管理監督者ではないと主張し、残業代などを請求した。京都地裁は、管理監督者性の判断において必ずしも最終決定権限は必要ではないと判示。新卒採用には関与できないが、出退勤の拘束もなく時間外手当を十分に補うだけの待遇を受けていたことから、請求を退けた。
出退勤の裁量あり 割増分を補う待遇
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社はスポーツクラブの運営などを業とし、各スポーツクラブを25のエリアに分け、それぞれのエリアに4ないし8のクラブを配属していた。各クラブの長はマネージャーまたは店長、各エリアの長はエリアディレクターと呼ばれていた。
XはY社に採用され、昭和56年10月16日から勤務し、平成7年10月1日からマネージャーに、同15年10月16日からエリアディレクターに昇格したが、同21年10月1日、不正行為を理由に副店長に降格され、同22年3月15日、退社した。
そこで、XはY社に対し同19年11月分から同21年9月分までの残業手当、深夜手当、および付加金、降格による同21年4月1日から同年9月30日までの勤務期間の賞与減額による差額などの総額1898万6001円の支払いを請求して提訴した。
判決のポイント
管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理につき経営者と一体的な立場にある者をいい、名称にとらわれず実態に即して判断すべきである。具体的には、①職務内容が少なくとも、ある部門全体の統括的な立場にあり、②部下に対する労務管理などの決定権などにつき一定の裁量権を有し、…
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