NTT東日本事件(東京高判平24・9・28) 強制わいせつで有罪、退職金55%減額とした一審は 「勤続の功」7割減殺が相当

2013.07.01 【判決日:2012.09.28】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 女子高校生への強制わいせつで有罪判決を受け合意退職した者に対し、懲戒解雇相当で退職金を不支給とした事案の控訴審。一審は22年の勤続の功は抹消できず45%の支払いを命じたが、東京高裁は原審を概ね踏襲しつつ、会社の名誉や信用は失墜し、示談が成立したことや過去に懲戒処分を受けたことがないなど、従業員に有利な事情を斟酌しても7割減額が相当とした。

名誉や信用は失墜 他に懲戒歴ないが

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、被告会社と雇用契約を締結して労務を提供し、合意退職した原告が、被告会社に対し、退職金および遅延損害金の支払いを求めた事案である。

 退職金不支給の理由は、被告会社では、退職手当が支給される前に在職期間における非違行為が発覚し、退職日までに懲戒処分が確定されない場合であって、かつ、その行為が懲戒解雇または諭旨解雇に当たると思料される場合は、その非違行為について、退職後においても懲戒に相当するか否か審査され、その結果、懲戒解雇または諭旨解雇に相当することとなる場合には、退職手当の支給を制限される条項があり、それに該当したというものである。

 原告が起こした非違行為は、自転車で通行中の当時16歳の女子高校生に対し、強いてわいせつな行為をしようと企て、被害者の自転車の前カゴをつかんで停止させ、自転車から降りた被害者の背後から右手でその口をふさぎ、左手で着衣の上から乳房を触るなどしたうえ、被害者の両肩付近を両手で突き飛ばして路上に転倒させ、被害者に加療約1カ月間を要する右手関節捻挫等の傷害を負わせたというものである。この件は、原告逮捕後、被告会社名を含め広く報道され、被告会社は報道機関に対し、原告が逮捕されたことについて、遺憾の意を表明するとともに、「心より深くお詫び申し上げます」とのコメントを出した経緯がある。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成25年7月1日第2927号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。