「働き方改革」へ判例再検証 職場に役立つ最新労働判例 連載1000回特別企画(中) 下級審編
格差に“長期雇用”考慮 割増率不合理の例あり
1000回特別企画の2回目は、7人の解説者に「働き方改革実行計画」に関連した下級審判決を解説してもらった。同一労働同一賃金をめぐり、政府ガイドライン案が早くも判決に影響を及ぼしているとの指摘があった。有期契約の不更新条項には、書面合意のみで有効とはいえない点に留意が必要とも。「子育てと仕事の両立」では、育休取得者の昇給見送りを違法とする事案が挙げられている。
同一労働同一賃金
◆長澤運輸事件(東京地判平28・5・13)
【事案の内容】定年後1年契約の嘱託社員として再雇用されたトラック運転手が、定年前と同一業務であり正社員との賃金格差は不合理として、労働契約法20条違反を理由に賃金等を請求した。請求を認容した一審に対し、二審では、定年前後で賃金引下げは広く行われ、減額は2割程度にとどまることなどから不合理とはいえないとした。
【判決の特徴】労契法20条は「期間の定めがあることにより…相違する場合」と定めているところ、本判決は「期間の定めの有無に関連して」と判断して、本件について労契法20条を適用したうえで、不合理性の有無を判断した。この判断を前提とすれば、定年後有期雇用により継続雇用をする使用者が多いことに鑑みれば、実務への影響が大きい判断であるといえる。(岩本)
◆ハマキョウレックス事件(大阪高判平28・7・26)
【事案の内容】貨物運送の契約ドライバーが、労契法20条に基づき、正社員との賃金格差是正を求めた。通勤手当を除き、相違は不合理といえないとした事案の控訴審。…
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