三晃印刷事件(東京高裁判平24・12・26) 職能資格導入時の激変緩和目的の調整手当を打切り 削減分は昇給やベア原資に
2013.07.08
【判決日:2012.12.26】
職能資格の導入に伴う賃金減額や激変緩和目的の調整手当の削減が、就業規則の不利益変更に当たるかを争った事案の控訴審。東京高裁は、売上減から業務遂行の意欲を高める必要性があったこと、手当を6年間継続支給したうえ3段階に分けて削減し、削減分は昇給やベア原資に充て賃金原資総額の減少を解消するなど、就業規則変更は高度の必要性に基づく合理的内容と評価した。
6年継続後カット 就規変更に合理性
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(一審被告)は、本社工場と習志野工場を有し、印刷などを業とする株式会社である。
甲ら12人(一審原告)は、会社との間で労働契約を締結して採用された労働者で、会社従業員で構成する労働組合(全印総連東京地連三晃印刷労働組合)の組合員である。
平成13年4月支給分以降、就業規則(給与規則を含む)を変更し、改定前に支給されていた基本給、職能手当、役付手当および資格手当を改定後は、年齢給、職能給、役割手当に改め、改定前との差額相当分は調整手当として支給することとなった。
会社が就業規則の改定を行ったのは、以下の事情からであった。
会社の売上げは出版不況の影響もあり、大幅に減少してきていること、他方、印刷業界ではデジタル化が進んできており、業務の効率化、印刷物の質の向上をもたらし、顧客のニーズに対応するため、会社としてもデジタル化を進めざるを得ない。…
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平成25年7月8日第2928号14面 掲載