第一興商(本訴)事件(東京地判平24・12・25) 休職期間過ぎて自動退職扱い、復職できると訴える 通常業務の労務提供は可能 ★
視覚障害を発症した営業マンに休職を命じ、期間満了時に復職不可と判断して自動退職扱いしたところ、障害は上司の暴言など業務上によるとして、地位確認などを求めた。東京地裁は、発症と業務の関係を否定する一方、主治医の復職可能との意見に対し会社は配属先がないなどの反証をせず、休職事由は消滅していたと判示。事務職での通常業務は可能で退職無効とした。
主治医の意見尊重 従前職務に限らず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告会社の正社員として勤務していたところ、上司などから仕事を与えられず、嫌がらせを受けたり暴言を浴びせられるなどしたうえ、精神的に追い込まれて視覚障害を発症し、休職に追い込まれた結果、休職期間満了により自動退職という扱いになったとして、①同視覚障害は業務上の傷病に当たり、その療養期間中に原告を自動退職とすることは労基法19条1項により無効である、②原告は休職期間満了時点で復職可能な状況にあったなどと主張して、雇用契約上の地位確認、自動退職後の賃金の支払いなどを求めるとともに、被告には安全配慮義務違反、不法行為があると主張して、損害賠償を請求した。
判決のポイント
被告従業員…から継続的に暴言を浴びせられたり、嫌がらせを受けた旨の原告の供述については信用することができず、他に、原告の主張を認めるに足りる的確な証拠は存しない…。したがって、原告主張にかかる被告従業員…による不法行為の事実については、これを認めることができない。
被告が、平成21年1月7日の時点において、原告につき業務の遂行が困難であると判断し、治療等に専念させる目的で、就業規則16条4号に基づき本件休職命令を発令したことが…
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