大阪市事件(大阪地判平25・3・25) 拾った金品着服したと河川事務所の職員ら懲戒免職 更生の機会与えず妥当性欠く ★
河川の清掃中に拾った金品を着服し、懲戒免職処分となった大阪市の職員5人が、市に対して処分の取消しを求めた。大阪地裁は、着服は長年にわたる職場ぐるみの行為で、市の監督責任も踏まえて、更生の機会を与えずに懲戒免職としたのは社会通念上妥当ではないと判示。ごみのゴルフバックを持ち帰った所長が停職1カ月だったのと比較し、不均衡な処分としている。
職場ぐるみで不正 管理者の処分軽い
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、大阪市環境局河川事務所の職員らが組織ぐるみで河川清掃中に拾得した金品や物品を私物化したとして、内部告発を端緒としてマスコミなどでも取り上げられた事案である。
当局は、チームをつくり事実調査をしたうえ、後記の処分の方針(以下、本方針という)のもと事実認定ができたもの(結果として本人が事実関係を認めたもの)を懲戒免職などに処したところ、その効力について争われた。
本方針(抜粋)は、主に以下のようになっていた。
現金・有価証券を引き上げた後に個人的に私物化した場合は、免職を基本とする。ただし、金額が少額の場合は軽減し、平成22年2月以前の場合は停職3月、同年3月以降については停職6月とする。また、受領を断ったにもかかわらず、無理やりに渡された現金を日本赤十字社に寄附などした事案については処分しない。職場でストックされたものから後に分配を受けた場合、停職3月とする。ただし、回数カードなど有価証券について分配を受けた後に、使わずにごみとして処分した場合は、一定の軽減をし、停職1月とする。
一方、物品を引き上げた後に物品を家に持ち帰る、または職場で使用するなど私物化した場合は減給とする。
本件不祥事(金品の私物化)以外に特に考慮すべき事情が認められる場合は、加重または軽減要素とする。事務所全体を総括すべき管理監督者が金品を私物化した場合は、加重要素とする。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら