国・中労委(JR東日本・国労バッジ)事件(東京地判平24・11・7) 組合バッジ着用で出勤停止、不当労働行為の判断は 組合活動色薄く個人の行為 ★
20年以上勤務中に組合バッジを着用していた者に対する出勤停止処分について、中労委が不当労働行為としたため命令の取消しを求めた。東京地裁は、就業規則の職務専念義務や服装整正規定に反し正当な組合活動ではないとしたうえで、懲戒は組合嫌悪の意図が動機ではないこと、着用者は1人で組合活動の色彩は後退していたことから、支配介入には当たらないと判示。
支配介入ではない 救済命令を取消し
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、その就業規則において、従業員に対する職務専念義務、服装整正義務(会社が認める以外の胸章等の着用禁止)を定め、かつ勤務時間中の組合活動を禁止していたところ、社員であったAは、昭和62年4月の原告設立時から平成21年9月までの間、所属する労働組合のバッジを、勤務時間中に着用し続けた。
原告は、Aのバッジ着用行為に対し、①平成20年1月26日付けで5日間の、②同年10月31日付けおよび③平成21年9月29日付けで各10日間の各出勤停止処分(以下、これらを併せて「本件各処分」という)をした。
不当労働行為であるとのAの救済申立てに対し、神奈川県労委は救済命令を発し、原告から再審査申立てを受けた中労委も救済命令を発した。本件は、本件中労委命令のうち、原告に対する救済命令の取消しを求めた事案である。
なおA所属の労働組合は昭和62年3月に組合員に対しバッジ着用指示を発令するとともに、バッジ着用を理由とする原告の処分(以下「バッジ処分」という)について組合が当事者となって救済申立てを行うなどしていたが、中労委の和解勧告を受けて平成18年11月6日、原告との間で、バッジ処分事件を含む不当労働行為救済申立て事件について和解し、これらの事件を取り下げた。…
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