ダイキン工業事件(大阪地判平24・11・1) 偽装請負を直用化、不更新条項設け2年半で雇止め 更新の合理的期待なかった
労働局から偽装請負の是正指導を受け、2年半を更新限度として有期で直接雇用した従業員を雇止めしたところ、無効と訴えられた。大阪地裁は、指導に期間の定めを禁ずる法的効果はないとしたうえで、人員調整の必要などから不更新条項を設けたもので、直用化前後で書面で説明し就業規則にも規定していたことから、更新の合理的期待を有する余地はなかったと判示。
就業規則にも規定 書面配布して説明
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告Y社は空調機・空気清浄機・大型冷凍機の製造などを事業内容とする会社である。
原告らは、当初は訴外の請負会社に雇用され、請負契約に基づいて、Y社の各工場において就労してきた。しかし、Y社は、所轄労働局長からの派遣法違反の是正指導を受けるなかで、原告らを期間の定めのある「有期間社員」として直接雇用し、引き続き労務に従事させた。直用化に際して、Y社は、原告らに対する説明会を開催し、直用化の条件として、労働契約の期間を当初は6カ月、以後は1年の契約で最長2年6カ月までは更新することを再三にわたって説明し、原告らもこれを踏まえてY社に採用されていた。
Y社は、期間満了の約1カ月前に原告らを含む「有期間社員」全員に対し、平成22年8月31日で有期雇用契約は更新せずに期間満了で終了する旨の通知を行い、退職手続きに関する書類一式を交付して説明した。
本件において、原告らは、本件労働契約における期間の定めは無効であり、仮に有効であるとしても本件雇止めは解雇権濫用法理の類推適用により無効であると主張し、労働契約上の地位確認および未払賃金の支払いを請求するとともに、本件雇止めに及んだ一連の行為が不法行為に当たると主張して、慰謝料の支払いを請求した。
本件の主な争点は、①本件労働契約における期間の定めの有効性、②本件雇止めの適法性、③Y社の損害賠償責任の有無である。…
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