K化粧品販売事件(大分地判平25・2・20) ノルマ未達でコスプレの罰、会社や上司に賠償請求 過度の心理的負荷負わせた
化粧品の販売目標に達しなかった罰に研修会でのコスチューム着用を強要されるなど精神的苦痛を受けたとして、女性販売員が上司ら3人と会社に損害賠償を求めた。大分地裁は、たとえ着用が任意でも拒否するのは非常に困難で、社会通念上正当な職務行為とはいえず心理的負荷を過度に負わせたと判示。会社は使用者責任を負い、連帯して22万円を賠償するよう命じた。
拒否できない状況 会社に使用者責任
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成21年10月27日当時K化粧品販売株式会社(Y社)の業務に従事していた。Y社が実施した平成21年7月、8月度の販売コンクールにおいて、Xは特定商品の販売数が割り当てられた販売目標数に達しなかった。
Y社は、美容部員を対象に、原則として月1回、新商品の勉強会や販売目標を達成するための勉強を目的とする研修会を実施していた。
Y社で行われた研修会に際して、Y社のA(販売部ストア課課長)、B(同課美容係長・ビューティートレーナー)、C(同課販売第1係主任・エリアマネージャー)がXに対し、その意に反して特定のコスチューム(頭部にウサギの耳の形をしたカチューシャをつけるなどした易者のコスチューム)を着用して研修会に参加するように強要し、同年11月にはコスチュームを着用したXの姿を含む本件研修会のスライド投影をしたことはいずれも不法行為(民法709条)に該当するとして、A、B、Cに対し損害賠償を請求し、Y社に対しては、上記行為の使用者責任(民法715条)を負うとして、訴えを提起した。
A、B、Cは、Xが本件コスチュームを着用することとなったのは、レクレーションの一環としての罰ゲームにすぎず、参加は任意のものでXは着替えを拒否できたと反論して争った。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら