JALメンテナンスサービス事件(東京高判平23・2・15) 65歳以降も有期の特別嘱託に、期間満了の雇止めは 希望に応じる労使慣行なし
65歳以上の特別嘱託契約の更新を拒否されたのは不当として、元従業員2人が地位確認等を求めた。東京高裁は、就業年齢の上限撤廃を会社は提唱しているものの、希望に応じて再雇用する労使慣行が長期間反復継続していた事実はないと判示。業務量や経営状況により契約更新を予定し、不更新条項も明記していたことから、雇用継続の合理的期待は生じないとした。
経営状況みて契約 不更新条項も明記
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
60歳定年制のY社の従業員であったAは、平成15年4月に定年退職し、同年5月1日から平成16年4月30日までの1年間の嘱託雇用契約を締結した。満65歳まで各1年間の嘱託雇用契約を締結し、平成20年4月に同年5月1日から6カ月間の特別嘱託雇用契約を締結したが、同年10月31日をもって雇止めされた。同じくBは、平成15年10月に定年退職し、Aと同様に満65歳に達するまで各1年間の嘱託契約を締結し、平成20年9月に同年11月1日から平成21年4月30日までの6カ月間の特別嘱託雇用契約を締結したが、同年4月30日をもって雇止めされた。
そこで、A、Bは特別嘱託社員についても、希望に応じて雇用契約が更新される労使慣行があり、その雇用契約の更新について合理的期待を有すると主張し、右の雇止めは無効として、Y社に対し雇用契約上の地位の確認、給与等の支払いを求め提訴した。一審判決(東京地判平22・4・13)は、A、Bの請求を棄却したので、控訴した。
判決のポイント
Y社では、満65歳に達した者が希望どおり特別嘱託社員たる従業員として採用される一般的取扱いがあり、…
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