フジタ事件(大阪地判平23・8・12) 経営難から定年退職後の継続雇用や契約更新を拒否 整理解雇の判断要素満たす
経営悪化を理由に定年後の継続雇用を中止したのは違法として、元従業員2人が建設会社に地位確認を求めた。大阪地裁は、継続雇用の要求は「特段の事情」がない限り拒否できないと判示。特段の事情は、整理解雇の判断要素に照らし判断するとしたうえで、会社存続には人員削減が必要で、希望退職者の募集や役員報酬の減額等から、雇止めには客観的合理性があるとした。
会社存続に不可欠 「回避努力」認める
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)9条に基づいて継続雇用制度を導入している会社(株式会社フジタ)の労働者であった甲および乙が、定年退職後の継続雇用を拒否され、あるいは継続雇用の更新を拒否されたことは違法であるとして、会社に対し、労働契約上の権利を有する地位の確認等を求めた事案である。
会社は、建設工事の請負、企画、設計、監理およびコンサルティング業務その他を営むことを目的としている。甲らは、全日本港湾労働組合関西地方建設支部の組合員である。
甲は、平成20年11月30日、乙は、平成21年10月31日に満60歳の誕生日の属する月末の到来により定年となった。
会社は、平成18年3月、就業規則41条において、「本人が希望し、…労使協定により定められた基準に該当したものについては、高年法附則4条に定める年齢まで再雇用する」旨、定めた。
会社と組合は、平成19年1月、再雇用基準に関する協定を締結し、「①職員基幹層Ⅰ以上であること、②会社の指定する病院の医師より、業務遂行上問題がないと判断されること、③定年退職日前3年間に出勤停止の懲戒処分を受けていないこと」のいずれにも合致する者とした。…
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