NTT西日本ほか事件(大阪地判平22・4・23) 家族ら身内への営業は任意というが労働時間では? 売上げ目標は業務上の指示
NTT西日本から出向した者が、会社が任意とする家族らへの営業販売やWEB学習の時間について出向元や先に賃金支払いを求めた。大阪地裁は、会社は売上げ目標を指示し達成状況を評価していたこと、WEB学習の内容は業務と関連することなどから業務上の指示によるものと判示。ノートへの記載時間を労働時間と認め、出向元に割増賃金と付加金の支払いを命じた。
達成状況評価する メモから時間認定
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告NTT西日本は、西日本地域における地域電気通信業務およびこれに附帯する業務等を行う会社である。
原告は、被告NTT西日本の社員であるが、被告のグループ会社である被告NTTネオメイトに出向し、主として固定電話・専用サービス等にかかわる設備の故障データに関する資料・報告書作成等を行っていた。
被告グループにおいては、全社員販売は任意の協力を依頼したものに過ぎない、WEB学習は自己研さんに過ぎないとして、それに従事した時間を労働時間と取り扱わなかった。
全社員販売とは、被告らの収益確保に向けて貢献するため、社員の友人、知人等と一般的に接する中で販売につながるような話があれば、NTTグループ関連商品や地方の特産品等を購入してもらうというもので、被告グループでは、1人当たり年間100万円の販売目標を設定していたほか、個々の評価の参考資料となるチャレンジシートにおいて、全社員販売の目標達成を指示したり、達成状況を評価していた。…
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