エコスタッフ事件(東京地判平23・5・30) 元請が事業廃止し唯一の契約失った下請が全員解雇 協約の合意条項に反し無効

2012.04.02 【判決日:2011.05.30】
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 受注業務終了に伴い解散した元請を唯一の取引先としていた下請の全従業員が解雇され、元従業員らが解雇無効を前提に両社に賃金等を求めた。東京地裁は、なし得る解雇回避努力には限界があるが、身分変更には労働協約上で労組の同意が必要とされており、団交を拒否し続けたことは手続きの相当性を欠くと判示。下請の法人格の形骸化は認められず元請への請求は斥けた。

団交拒否し続ける 手続き相当性欠く

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y1社はその唯一の取引先である公社から、産業廃棄物の分別作業受託、収集運搬等受託してそれを業とする会社であり、Y2はその代表取締役であった。Y3社は、その唯一の取引先であるY1社から産業廃棄物の選別業務(以下「本件選別業務」)を下請けし、Y4はその代表取締役であった。なお、Y4はY1社の事業部長でもあった。

 X3ら5人は、Y1社に雇用されていたが、途中から本件選別業務を下請けしたY3社に雇用されることとなった従業員である。X4ら2人は、最初からY3社に雇用されていた従業員である。X1支部は、全国組織の労働組合の地域支部であり、X2分会は、X3、4らを含むY3社の従業員らで構成された労働組合分会である。

 Y1社は公社から請け負った業務のうち、選別業務のみをY3社に下請に出していた。Y3社の設立に当たってはY4が全額出資し、Y1社とは株式の持ち合い等の資本関係はなく、Y1社とY3社とは預金通帳も経理関係帳簿も別個であり、Y3社が受けたことのある税務調査の際にもY1社とY3社との財産関係が混同しているとの指摘はなかった。Y3社の従業員に対する指揮命令は全て(Y1社ではなく)Y3社が行い、最初からY3社に雇用されたX4ら2人を採用したのはY3社である。資材、重機は原則Y1社所有である一方、事務機器はY3社所有のものであり、電話番号もY3社固有のものであった。また、Y3社はY1社に対して人件費に直結する業務委託費の増額を要請しており、…

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平成24年4月2日第2867号14面 掲載
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