阪急トラベルサポート(第2)事件(東京地判平22・7・2) 添乗員の労働時間、自己申告可能でもみなし適用? 単独業務で具体的指示ない
2011.02.21
【判決日:2010.07.02】
事業場外のみなし制を適用される派遣添乗員が、割増賃金の支払いを求めた。東京地裁は、単独で業務を行い、旅先で具体的指示もないため労働時間算定は困難として、添乗日報から労働時間を1日11時間と算定した。しかし、労働契約の11時間という部分は無効であり、日当にも割増賃金に当たる部分は区分されていないとして、割増賃金と付加金の支払いを命じた。
11時間契約は違法 日当と割増区分を
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、募集型企画旅行において、主催旅行会社A社から添乗員の派遣依頼を受けて、登録型派遣添乗員に労働契約の申込みを行い、添乗員を派遣するなどの業務を行っていた株式会社である。
Y社は、フランス等の海外旅行の派遣業務(2回)について、Xと労働契約を締結し、Xは、A社へ派遣され、A社主催の募集型企画旅行の添乗業務(旅程管理等)に従事した。Xの日当は1万6000円とされていた。
Xの派遣社員就業条件明示書には、原則として就業時間は午前8時から午後8時までとする旨、実際の始業・就業は派遣先の定めとする旨、派遣添乗員が自己責任において管理することができる旨が記されていた。
また、Y社では、事業場外みなし労働時間制が設けられており、派遣添乗員が事業場外において労働時間の算定が困難な添乗業務に従事した日は、休憩時間を除き、1日11時間労働したものとみなすとされていた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成23年2月21日第2813号14面 掲載