五泉市事件(新潟地判平22・11・11) 外出勤務した部下の服務監督怠った課長補佐を戒告 上長の専決事項で処分取消
税務課職員の外出勤務中のセクハラ行為に端を発した「外出時の服務監督権」について、上司として戒告処分を受けた元課長補佐が、市に処分取消しを求めた。新潟地裁は、勤務中の外出の承認は課長の専決事項で、補佐が管理監督責任を負うとはいえないと判示。補佐は課長の事務の一部を「代決」し、その範囲で責任を負うが、義務懈怠は認められず処分を取り消した。
部分的に事務代理 義務懈怠は認めず
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、Y市税務課課長補佐であった原告が、平成18年2月17日、Y市長から、Y市税務課課税室資産税係長による同課同係主事補に対するセクハラ事件について、部下の管理監督を怠ったとして戒告処分を受けたことに関し、①原告は管理監督責任の主体とならないこと、②原告は管理監督義務を懈怠していないこと、③本件処分が懲戒権の濫用、逸脱に当たること、④本件処分における理由附記違反があること、⑤本件処分理由の主張が理由の差し替えに当たることから違法であるとして、被告に取消しを求めた。
また、本件処分が違法な公権力の行使に当たるとして、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料、弁護士費用合計110万円および本件処分の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めた事案である。
判決のポイント
加害者は本件事件当時の税務課(合計25名)の中で、課長1名、課長補佐(原告ほか2名)、係長3名、係員19名中の係長であり、これまでに懲戒処分を受けたことはないこと、当時のZ課長は、加害者について、目上の人に対する言葉遣いや態度が気になっていたが、セクハラをするような人かどうかというようなことは当時は考えもしなかった旨、…
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