京都下労働基準監督署長事件(大阪地判平22・6・23) 同僚女性らのいじめでうつに、労災不支給の判断は 心理的な負荷を強度と認定
同僚女性らのいじめにより、うつ状態となった元社員の女性が、労災不支給の取消しを求めた行政訴訟。大阪地裁は、いじめは集団で長期間継続し、内容も陰湿なことから精神障害の判断指針による心理的負荷は強度と認定。いじめに対する防止措置をとらなかったことから発症したもので、業務に内在する危険が顕在化したとして業務起因性を認め、処分取消しを命じた。
長期間継続し陰湿 対策とられず発症
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
訴外会社に勤務していた原告は、平成14年12月から通院・投薬を受けている精神障害(不安障害、うつ病)に罹患し、その発症が同社の同僚等の職務に伴ういじめと、それに対する適切な措置が訴外会社においてとられなかったという業務に起因するものであるとして、労災保険法に基づいて京都下労働基準監督署長(原処分庁)に対し、療養補償給付を請求したところ、原処分庁が平成18年5月9日付けで不支給とする旨の処分をし、審査官への審査請求、労働保険審査会への再審査請求とも棄却されたため、被告国に対し、同処分の取消しを求めた事案である。
なお、原告は、平成14年11月から休職し、平成17年6月、「休職期間満了により、解雇する」旨の辞令を受けた。
判決のポイント
原告は、第3営業部配属中の平成12年6月以降、DやGら同僚の女性社員数名から営業の仕事もしていない、職務等級が自分らより上の6級であるのにそれに相応しい仕事ではなく自分らとそれほど変わらない仕事をしている、それなのに高い給料をもらっている等として、ねたみや逆恨みのような思いをもたれたりしていた。…
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