ライドウェーブコンサルティングほか事件(東京高判平21・10・21) 競業行為に損害賠償請求、解雇日までの年休は拒否 受注機会喪失とはいえない
コンサル会社が、競業行為を理由に解雇した元従業員へ損害賠償を請求し、元従業員は解雇日までの年休賃金などを求めた。東京高裁は一審を踏襲し、競業と受注機会喪失との因果関係を否定して賠償請求の一部を棄却。一方、年休請求について、業務引継ぎが不可欠で事業の正常な運営を妨げるとして時季変更権を認めたほか、解雇には帰責事由があり予告手当は不要とした。
時季変更権は有効 業務引継ぎを優先
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、本訴として、X社(一審本訴原告・反訴被告)が、①元従業員のY1(一審本訴被告・反訴原告)に対し、雇用契約上の競業避止義務に違反してX社に損害を生じさせたとして、債務不履行に基づく損害賠償(約2087万円)等を請求するとともに、②Y1および同人が全額出資して設立されたY2社に対し、訴外派遣会社N社と共謀のうえX社を欺罔してBをプログラマーとしてX社に派遣する派遣契約を締結させ、X社から派遣料を詐取したとして、不法行為に基づく損害賠償(882万円)等を請求した事案の控訴審(一審=東京地判平21・1・29)である。
また反訴として、③X社から懲戒解雇されたY1が、X社に対し、未払賃金および解雇予告手当等の支払いを請求した。
判決のポイント
(1)Y1が本件競業避止義務違反の行為をなしたことは認められるがその結果、Xが本件各取引をA社から受注する機会を喪失して損害を被ったといえるかという点に関しては、本件において、…
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