P大学(セクハラ)事件(大阪地判平23・9・16) 大学教授がセクハラ理由の減給処分取消しを求める 被害の申告内容は認め難い
女性准教授を執拗に食事へ誘うなど身体的接触を含むセクハラ行為を理由に減給された大学教授が、処分の無効を求めた。大阪地裁は、学内の調査委員会などの審議を覆し、セクハラがあったとは認め難いとして処分無効と判示。教授との地位を考慮しても、准教授が帰宅中に送った御礼メールの内容などから被害者の証言と行動の間に不合理かつ不自然な点があるとした。
学内での審議覆す 証言に不可解な点
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y大学は、Y大学の設置するP大学B学部教授であるXが、同学部所属のA准教授に対してセクシュアル・ハラスメント行為を行ったとして、セクハラ防止委員会や同調査委員会、教授会、大学協議会のほか不服審査委員会の審議を経て、平成21年2月26日、Xに対して懲戒処分としての減給処分を行った。
本件は、XがY大学に対し、減給処分が無効であるとして、同処分の付着しない労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、減給された金員の支払いを求めた事案である。
本件では、本件処分の適法性(セクハラ行為の有無、処分の相当性、手続きの適法性)が争点となったが、中でもセクハラ行為の有無が最も大きな争点となった。XY間では、①XとA准教授との地位、②Xのセクハラ行為(飲酒の誘い、セクハラ行為があったとされた日の出来事)について、主張が真っ向から対立している。
Yは、①について、Xは学部の教員人事採用に深く関与し、A准教授の教授昇任の際に深く関わる可能性が高いこと、②について、…
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