国・中労委(神奈川都市交通)事件(東京地判平23・4・18) 62歳で準社員転換、労組役員を契約更新せず雇止め 会社は採否の裁量権有する ★
62歳以降、準社員として契約更新されず雇止めされた労組執行委員長が、不当労働行為でないとする中労委命令の取消しを求めた。65歳までの雇用確保措置を義務付けた高年法改正前の事案。東京地裁は、定年後62歳まで半年契約を更新する雇用延長とそれ以降の準社員制度は区別され、採用に裁量があると判示。数々の指示違反があり、裁量権の逸脱や濫用はなかった。
数々の指示違反が 中労委命令は妥当
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
Aは、昭和61年2月に会社に入社し、タクシー乗務員として川崎営業所に勤務していたところ、平成14年4月2日、満60歳の定年に達し、同月3日から6カ月の契約期間で会社と労働契約を締結し、その後3回更新された。しかし、平成16年2月、期間満了により雇止めを行う旨の通知を受け、同年4月2日、雇止めとなった。
Aは、平成8年4月1日に原告労働組合を結成し、平成17年9月まで執行委員長を務めていた。
会社の就業規則においては、定年を満60歳とし、「ただし満62歳まで雇用延長ができるが、6カ月ごとの更新とし」、その後について会社が特に必要と認めた者につき別に定める準社員規定により採用することがある旨の定めがある。平成9年4月に改正された準社員取扱規定においては、「定年に達したる社員であって会社が必要とし、かつ本人が引続き勤務を希望する場合は、所属長の申請により、審査の上採用する」と定められていた。この就業規則および準社員取扱規定は、平成15年に共に変更され、就業規則は、定年に達した社員について6カ月ごとに更新し満62歳まで雇用延長することがある旨変更され、準社員取扱規定は、雇用延長後満62歳に達した社員で勤務継続を希望する者は所属長の申請により審査の上再雇用する旨変更された。…
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