サノヤス・ヒシノ明昌事件(大阪地判平23・9・16) 元請での石綿作業で中皮腫患い死亡したと賠償請求 実質使用者として支配管理
2012.06.04
【判決日:2011.09.16】
中皮腫で死亡したのは元請での石綿作業が原因として、下請従業員の妻子が、元請に安全配慮義務違反の損害賠償を請求した。大阪地裁は、実質的に使用者に近い支配を及ぼしていた元請が安全配慮義務を負うと判示。じん肺法制定後、遅くとも国際癌学会の結果が報告された昭和42年までには石綿の危険性は予見可能で、保護具の支給や着用指示を怠り責任は免れないとした。
安全配慮義務怠る 保護具を支給せず
筆者:弁護士 岡芹 健夫 (経営法曹会議)
事案の概要
Y社は船舶の建造・修繕等を業とする会社であり、Z社はその下請会社である。
Aは、Z社の従業員として、Y社所有の大阪製造所(以下、「本件製造所」)において、昭和42年から平成18年までの間、船舶の修繕作業に従事していた。
本件製造所内においては、Y社従業員が、作業員全員が参加する朝礼において、作業の安全管理等について指示を行い、作業状況を把握するための巡回をし、作業の現場監督を務め、Z社従業員に具体的指示をすることもあった。
本件製造所内で修繕していた船舶の内部では、機関室の断熱材に石綿布が使用され、修繕作業の際にはこの石綿布を取り外す作業が必要であり、AらZ社従業員もこうした作業をしたことがあった。また、上記の他にも、AらZ社従業員は石綿製品を扱う作業をした。
Aを含む作業員は、作業着や工具を自前で用意しており、Y社から防じんマスクや防護衣の支給を受けていなかった。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
ジャンル:
平成24年6月4日第2875号14面 掲載