スタジオツインク事件(東京地判平23・10・25) 残業代請求訴訟で使用者が理由なく資料提出を拒む 合理的推計の算定許される

2012.07.09 【判決日:2011.10.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 退職した社員が、在職中の残業代を請求した訴訟で、タイムカードなどの提出を拒否したケースに対し、東京地裁は合理的な推計による時間算定が許される場合もあると判示。時間外労働の立証責任は労働者が負うが、労働時間を管理する使用者に積極否認・間接反証が期待されていることとの公平性から判断した。月平均就労時間でデータの穴埋めをし、支払額を算定した。

立証責任と公平に 月間平均で穴埋め

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 記録映画、テレビCM、PR映画などの企画、制作などを営むY社で取締役・クリエイティブ部門担当だった甲と、課長・ディレクターだった乙が退職後にY社に対し、在職中の平成18年10月から19年6月までの間の時間外・休日・深夜労働手当(以下、時間外等労働手当という)として、300万円ずつの支払いなどを求めて提訴した。

 甲は少なくとも月平均所定労働時間160時間を超えて月平均280時間は就労しており超過分の120時間分、乙はタイムカードを打刻していた頃は月平均の残業時間が100時間から150時間だとして月平均125時間分の時間外等労働手当を請求している。

 Y社は甲乙の時間外等労働、その金額などを否認ないし争うと答弁し、そもそも甲乙は管理監督者で時間外労働手当などを請求できないと主張した。

判決のポイント

 使用者が合理的な理由がないのに、本来、容易に提出できる労働時間管理に関する資料を提出しない場合、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成24年7月9日第2880号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。