東日本電信電話事件(東京高判平22・12・22) 転籍拒否し六十歳定年、高年法に反しないとの判断は 子会社での雇用確保を評価
グループ会社での継続雇用を希望せず、60歳で定年退職とされた元従業員らが、地位確認の請求を棄却されたため控訴した。東京高裁は、一審を踏襲し、資本的な密接性がある子会社で安定した雇用が確保されると評価。高年法は、労働者の希望する労働条件であることまで要求するものではなく、賃金減額に対しても激変緩和措置を講じていることなどから控訴を棄却した。
資本的な密接性が 賃金減も一部緩和
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xらは、いずれも、昭和60年4月に民営化された日本電信電話公社に期間の定めのない労働者として雇用されたものである。Y社は、地域電気通信業務を目的とする株式会社で、Xらとの雇用契約を承継した会社である。
Y社は、平成13年4月以降、構造改革の一環として地域密着型の業務等を目的とする複数の新子会社(以下、「グループ会社」)を設立し、Y社業務の相当部分を業務委託することとした。それを踏まえ、Y社は、平成13年12月3日、平成15年3月31日までに満51歳以上になる従業員に次のいずれかの雇用形態を選択させることとした。
①平成14年4月30日付でY社退社。同年5月1日に同一都道県内所在のグループ会社入社(この際、約15~30%程賃金が減額されるが、最大、減額分の50~60%を補填する激変緩和措置がある)。グループ会社入社後定年60歳まで雇用された後、61歳以降65歳までグループ会社にて契約社員として再雇用。
②Y社に60歳まで勤務し、その後再雇用されない。
なお、①、②につき選択の意思表示をしない者は、②型を選択したものとみなすとされていた。…
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