明石書店事件(東京地決平22・7・30) 有期契約は3年までと不更新条項付けられ雇止めに 打切る根拠となる疎明なし
「有期契約は3年まで」とする会社方針に基づいて不更新条項を付された労組の副支部長について、東京地裁は、解雇権濫用法理の類推適用が排除されれば、期間の定めの有無による不均衡を解消しようとした判例法理の趣旨が没却すると判示。会社は、雇止めを根拠付けるだけの経営状況なり、労働事情などを疎明していないことなどから雇止めの正当性は認められないとした。
解雇権濫用で無効 不本意ながら同意
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、本の出版および販売等をするYとの間で有期労働契約を締結し、更新を2回重ねていた。概ね3年を目処に正社員化できない者については、新たな契約を締結しない方針により、最終回の更新時の契約書に「本労働契約期間満了時をもって、その後の新たな労働契約を結ばず、本契約は終了する」条項(不更新条項)を使用者が挿入し、Xは、不更新条項を保留にして、更新できないかとY側に問うたが、断られたため、やむなく契約書に署名押印した。
Yが、不更新条項を根拠に雇止めを行ったため、Xがその無効を主張して、Yに対して労働契約上の仮の地位にあること、労働契約に基づく賃金仮払いの仮処分を求めた事案である。
判決のポイント
Yにおいては、期間の定めのある労働契約を締結していた契約社員には、更新の合理的な期待があると評価できることは明らかであり、…不更新条項のある労働契約を締結するという一事により、解雇権濫用法理の類推適用が排除されるというのでは、期間の定めの有無による大きな不均衡を解消しようとした判例法理の趣旨が没却されることになる。…
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