積水ハウスほか事件(大阪地判平23・1・26) 違法派遣理由に契約終了後、「先」へ直接雇用を要求 黙示の労働契約は成立せず
住宅メーカーへ派遣された女性が、業務を26業務に偽装されたのは違法として派遣契約終了後、同社らに雇用契約上の地位確認等を求めた。大阪地裁は、業務は「事務用機器操作」の範囲内としたうえで、派遣元で労務管理や賃金支払い等を行っている実態から黙示の労働契約は成立しないと判示。なお、再就労する旨の言動を反故にした派遣先に30万円の支払いを命じた。
「元」から賃金受領 業務も法令範囲内
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告らが被告リクルートスタッフィングとの間の派遺労働契約および被告ら間の労働者派遣契約に基づいて原告を被告積水ハウスに派遺したことが偽装派遺であるとして、(1)被告積水ハウスに対し、黙示の労働契約が成立していることを前提に、労働契約に基づいて、①雇用契約上の権利を有する地位の確認請求とともに、②平成20年9月以降の賃金の支払いと、(2)被告ら各自に対し、不法行為に基づいて100万円の損害賠償の支払いを求めた。
判決のポイント
派遺労働者と派遺先との黙示の労働契約の成否であるが、それを判断するに当たっては、派遺元(本件では被告リクルートスタッフィング)に企業としての独自性があるかどうか、派遺労働者と派遣先との間の事実上の使用従属関係、労務提供関係、賃金支払関係があるかどうか等を総合的に判断して決するのが相当である。
原告は、…被告積水ハウスの下での…業務の遂行にあたって、同被告の担当者から指揮監督を受けていた。しかし、…①被告ら間に資本関係、人的関係は一切なく、被告リクルートスタッフィングは、独立の法人格を有する株式会社であって、被告積水ハウス以外の会社にも派遺労働者を派遣していること…、②原告は、…
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