津田電気計器事件(大阪地判平22・9・30) 定年後の嘱託期間が満了、低査定理由に継続を拒否 就規の周知は雇用申込みに
61歳までの嘱託契約の終了後、継続雇用規程の基準を満たさず契約終了とされたため、雇用契約上の地位確認等を求めた。大阪地裁は、就業規則に基準を定め、条件を満たせば当然に契約は成立するから、基準の周知は再雇用の申込み、継続雇用の希望はその承諾の、それぞれの意思表示と判示。表彰歴等から査定は不合理で、基準を満たしているとして請求を認容した。
希望者と契約前提 評価は基準満たす
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、昭和41年3月、電鉄分野の電子制御機器・計測機器の製造・販売等を主たる業務内容とするY社に正社員として入社した。その後、昭和55年7月に係長に昇格し、異動と共に各課の係長を歴任(平成10年にY社では係長が主任に名称変更)し、平成17年1月、役職定年となり主任職を解かれた。
Y社では従業員の定年を満60歳としていたが、Y社と同社従業員所属のA労組との間の労働協約では、定年後1年間は嘱託として雇用することを定めている(なお、この嘱託雇用は組合員のみならず全従業員に適用される)。これに従い、Xは、満60歳の定年の後、1年間嘱託として雇用され、平成21年1月に満61歳の誕生日を迎えた。
Y社には、満61歳までの勤務を終了した従業員を対象として、大要、以下の内容の高年齢者継続雇用規程がある。
① Y社は継続雇用を希望する高年齢者を選考して採用する。
② Y社は高年齢者の在職中の勤務実態および業務能力を査定し、採用の可否および労働条件を決定する。…
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