NEXX事件(東京地判平24・2・27) 20%減額された月給を3年受領、解雇後に差額請求 不利益変更の同意なく無効
月給60万円の20%減額に異議を述べず、3年間受領した従業員が、業務命令の軽視などを理由に解雇されたことから差額を求めた。東京地裁は、不利益変更を真意に基づき受け入れたと認められる合理的理由はなく、一方的な賃金改訂を無効と判示。正社員2人のみで減額に反対することは困難で、激変緩和措置もなく黙示の合意を不成立としたが、解雇自体有効としている。
反対困難な状況で 緩和措置も講じず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告会社を解雇されたXは、在職中に賃金を20%減額されたこと等について、①不法行為に基づく損害賠償、②賃金減額分の支払い等を請求した。
Xは、当初、アルバイトとして稼働し、平成17年1月以降は、正社員の製品マーケティング・マネジャーとして、給与を月60万3500円とする契約を締結し、給与条件は、本人の勤務状況、成績等と会社の業績状況に鑑み、会社の判断により、適宜年度ごと後年の調整を実施するとされていた。
会社は、Xに対し、月額60万円(手取額48万円余)を基準として支給していた。ところが、会社は、平成18年6月分以降、20%分(12万円)を減額した額面48万円を基準として支払うようになった。Xは、平成21年6月13日頃、会社に対し、要求書により、月額60万円の給与の支払いを求めた。会社は、Xに対し、同年7月6日、業務命令の無視、反抗の継続、職務遂行能力の欠如等を理由として普通解雇を通告した。…
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