U銀行(パワハラ)事件(岡山地判平24・4・19) 療養後復職者のミス、頻繁で強い叱責はパワハラ? 健常者でも精神的な負担に
「脊髄空洞症」での休職から復職後、上司に強くミスを叱責された元従業員が、上司3人と会社に損害賠償を求めた。岡山地裁は、支店長代理は「辞めてしまえ」などと頻繁に叱責しており健常者でもかなりの精神的負担を負うこと、後遺症にも無配慮であったことに照らしパワハラに当たると判示。会社も使用者責任を負うとして、連帯して100万円の支払いを命じた。
後遺症の配慮怠る 使用者責任も認容
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、信用金庫、信用組合等の勤務を経て、平成14年にY1(U銀行)に就職した。同18年4月脊髄空洞症などに罹患して入院し、職場復帰後の10月からQ支店に、翌年5月にお客様サポートセンターに、その後、リスク統括部現金精査室を経て同19年12月から人事総務部に配属され、同21年3月末退職した。なお、同19年11月には、脊髄空洞症により身体障害者等級4級と認定され、また、同20年12月から翌年3月まで不安抑うつ状態により通院している。
Xは、この間の上司Y2~4について、職務上の指導・注意の範疇を超える言動(パワーハラスメント)があり、これにより退職を余儀なくされたとして、不法行為に基づく損害賠償を請求するとともに、Y1に対して、上司の言動に関する使用者責任を追及し、さらに、Y1が、雇用する労働者の業務の管理を適切に行い、心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っているにもかかわらず、その注意義務を怠って不当な配転をしたとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した。…
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