エバークリーン事件(千葉地裁松戸支判平24・5・24) ケガしたドライバーが工場職への配転無効を求める 職種限定の合意認められず
業務上のケガから工場職へ配置転換されたドライバーが、職種限定の合意に反するとして、配転の無効や差額賃金などを求めた。千葉地裁松戸支部は、就業規則には根拠規定があり、年間5人程度の異動実績もあるなど職種を限る合意は認められないと判示。腰や膝を痛めて長距離運転は困難で、安全配慮義務や業務遂行の見地から配転命令に業務上の必要性が認められるとした。
就業規則上に根拠 毎年異動実績あり
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Xが、Yに対し、ドライバー職から工場職に配置転換することは職種限定の合意違反または権利の濫用であるから無効であると主張して工場職に従事する雇用契約上の義務がないことの確認を求め、また、差額賃金などの支払いを求めた事案である。本判決はXの請求をいずれも棄却した。
Yは、再生油の販売、産業廃棄物の収集・運搬・処分などを業とする株式会社である。Xは、採用面接の際、6カ月の間月額43万円が保障されること、エリアマネージャーに登用されると歩合給として目標達成給が支給され、月額43万円を上回る旨の説明を受け、平成20年4月15日からY千葉支店においてドライバーとして従事していた。
ドライバー職の業務は、トラックで製造工場、ガソリンスタンドなどを巡回し、金属類、プラスチックなどの廃棄物をドラム缶に詰め込み、回収してYに戻るというものであった。ドライバー職は、エリアマネージャーと代行ドライバーに区別され、Xは、平成20年5月、エリアマネージャーに登用された。
Xは、平成21年1月22日、作業中に左膝に激痛を感じ、歩くこともできなくなった。同月23日から4月7日まで自宅療養し、9日以降、代行ドライバーとして復帰した。…
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