フェデラルエクスプレスコーポレーション事件(東京地判平24・3・21) クリスマスなどの所定休日廃止は無効と108人が提訴 不利益変更で合理性欠く
クリスマスや誕生日などの所定休日を廃止する就業規則の変更について、航空貨物輸送会社の従業員108人が休日として行使できる地位の確認を求めた。東京地裁は、労働時間の増加は約2%の賃金削減と同様で不利益は大きいと判示。代償措置はなく同業他社の状況などから不利益を受忍させる高度の必要性は認められず、変更後の労働条件は合理的とはいえないとした。
実質は賃金カット 代償措置も講じず
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
国際総合航空貨物輸送を業とするY社の日本支社エアポート部門で勤務するXらは、同支社が所定休日としていたメーデーの5月1日、クリスマスの12月25日、年末年始の12月30、31日、1月2、3日および社員の誕生日のうち、メーデー、クリスマス、12月30日と社員の誕生日の4日間を休日ではなくして出勤日とした就業規則の変更は、合理性がなく無効だとして提訴した。
判決のポイント
労働契約法は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合などとの交渉の状況、⑤その他の就業規則の変更にかかる事情に照らして、就業規則の変更が合理的なものであるときは、労働条件は変更後の就業規則の定めるところにより変更されると定めている(10条)。ただ、これは従前の判例法理に内容的な変更を加えるものではない。変更後の就業規則の内容の相当性(前記の③)としては、従前の判例法理の考慮要素の「代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況」、「同種事項に関する我が国社会における一般的状況」も引き続き考慮すべきである。…
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