国・米沢労基署長(通勤災害)事件(東京地判平22・10・4) 終業後スポーツ大会から帰宅中の事故は通勤災害? 自由参加で就業と関連ない ★
終業後に行われた従業員会主催のバドミントン大会の帰路、新入社員が事故に遭い、通災給付の不支給取消しを求めた行政訴訟。東京地裁は、参加は自由で全従業員の2割程度であること等から事業主の支配、管理下にはなく業務性を有しないと判示。使用したのは市営体育館で事業場から約100m離れていること等から、就業の場所とも認められないとして請求を棄却した。
市営体育館を使用 不支給処分は妥当
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成19年4月、A社に入社し、2カ月の研修の後、同年6月から約3カ月の研修目的で子会社に出向した。Xは、同年7月2日、終業後1時間ほど、出向先の従業員会が主催したバドミントン大会に参加し、その後、会場から同僚の運転する自動車に同乗して寮に戻る途中、交通事故に遭い左膝下挫滅傷(その後、膝上から切断手術)、頭部挫滅創等の傷害を負った。
Xが、本件災害は通勤災害に該当するとして療養給付を請求したところ、労基署長は通勤災害に当たらないとして支給しない旨の本件処分をした。Xは、審査請求をしたが棄却され、この決定を不服として労働保険審査会に再審査請求をしたが、請求日から3カ月を経過しても裁決がなかったことから、本件処分の取消しを求めて提訴した。
判決は、本件災害は、通勤の中断後に生じたものであり、通勤災害には該当しないとした。
判決のポイント
1 大会への参加は「業務」か
①事業場の各部署対抗のバドミントン大会であり、…事業運営に直接かかわるものではないこと、②任意参加であり、…
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