日通岐阜運輸事件(岐阜地判平23・7・14) 基準を満たさず再雇用拒否、解雇権の濫用で無効か 契約結ぶまで権利主張ムリ
2011.10.24
【判決日:2011.07.14】
定年後の再雇用拒否について、解雇権濫用法理が類推適用されるか争った事案。岐阜地裁は、高年法の継続雇用制度は、事業主の実情に応じた措置を許容しており、労働者が雇用を請求できる権利はないとしたうえで、再雇用契約が締結されない限り、労働契約上の権利を主張できる地位にはないと判示。審査で基準を満たすか判断し、自動的に雇用継続するとはいえないとした。
審査に基づき選定 柔軟な措置を許容
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Yの従業員で満60歳の定年退職日を迎えたXが、Yに対し、再雇用を希望する旨の意思表示をしたところ、Yにこれを拒否され、拒否の意思表示は解雇権濫用法理の類推適用により無効であるから、Yとの間において従前と同様の雇用契約を延長する契約が成立した等と主張して、Yに対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。
Yは、貨物自動車運送事業、貨物自動車利用運送事業等を業とする株式会社である。Xは、平成4年6月1日、Yとの間において、従事する業務内容をコンテナー集配業務、基本給与額を日給等とする内容の労働契約を締結した。
Yは、平成18年7月頃、高年法の改正を受けて、Yの労働者の過半数で組織する労働組合である日通岐阜運輸労働組合との労使協定により、法9条1項2号所定の継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る事項を定めた「再雇用の基準に関する協定書」を締結した。…
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平成23年10月24日第2846号14面 掲載