日本通運(休職命令・退職)事件(東京地判平23・2・25) うつ病休職が満了、主治医は復職認めたが会社拒否 診断書の信用性に疑問残る

2011.11.21 【判決日:2011.02.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 営業係長が、異動を発令された心因からうつ病を発症し、休職期間満了で退職扱いされたが、主治医の診断に基づき復職可能と訴えた。東京地裁は、係長は異動前の職場復帰を希望するが、主治医と心因を除去する方法について話をしておらず、会社が診断書の信用性に疑問を抱くのは合理的と判示。上司への非難行為から、病状は回復していないとする産業医の意見を尊重した。

治ゆせず退職扱い 産業医の意見尊重

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y1社は物流事業全般を営む株式会社である。Xは、平成元年4月にY1社に入社し、平成13年3月、A事業所営業係長に任ぜられた者である。

 平成17年6月29日、Xは上司のY2より異動の内示を受けたが、強い拒絶反応を示し、翌30日、急性口蓋垂炎による呼吸困難で倒れ病院に搬送された。翌日、Xは出社したが7月4日以降欠勤した。同月6日、Xはうつ病の診断を受けた。同年9月13日、Xは主治医であるB医師より、「ストレス反応性不安障害。3カ月間の休養加療を要する」という診断を受けた。また、Xは、同年8月ころからY1社に対し、Y2を激しく非難、攻撃する長文の手紙を繰り返し送付するようになった。

 平成18年2月、Y1社はXに対し、Xの欠勤期間は同年9月15日までであり、復職できなければ翌16日をもって休職命令を発令する予定である旨、説明した。

 平成18年9月、Xは割増賃金を請求したいといい出し、Y1社の労働時間管理に不備があったことが判明したので、Y1社は休職命令の発令をいったん保留した。そのうえで、Y1社は、2年分の割増賃金222万1971円を支払った。

 平成19年1月17日、E次長はXに、診断書を提出するように求め、復職可能診断がなければ同年2月1日に休職命令を発令すると念を押した。同月23日、B医師は、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成23年11月21日第2849号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。