淀川海運事件(東京地判平21・3・16) 協定で割増基礎から手当除く、反対組合員が違法と 限定列挙の労基法に反する
自動車運送会社が労使協定で住宅手当等を減額し、割増賃金の算定基礎からも除外したため組合員5人が減額分を請求した。東京地裁は、割増賃金から除外可能な手当等は法で限定列挙され、それ以外は実質により判断すると判示。住宅手当等は、一律に支給されており除外賃金に当たらず、労働条件の最低基準を定めた労基法に反するとして労使協定の効力を無効とした。
定額制で除外ムリ 協定自体が無効に
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、自動車運送事業等を主たる目的とする会社である。本件は、被告に雇用される原告ら5人が、時間外(法定外)手当およびこれに関する付加金、後記のトレーラー運転手の乗車手当の減額分並びにこれらに対する遅延損害金の支払いを求めた事案である。
なお原告らは、いずれも被告に期間の定めなく雇用され、原告A、同Bおよび同Cはトレーラーの運転手として、同Dおよび同Eは、大型トラックの運転手として、それぞれ稼働してきた。原告らはいずれも、訴外Z労働組合の組合員である。
被告と原告ら2人が所属するZ組合との間の本件各労使協定により実施されていた、①皆勤手当、無事故手当の時間外手当算定基礎からの除外、②住宅手当の減額および同算定基礎からの一部除外と乗車手当の減額、③皆勤手当、無事故手当の廃止と2カ月ごとに査定・支給の報奨金新設につき、各手当の時間外算定基礎からの除外は労基法に違反したか否か、また各手当減額につき合意した労使協定が無効か否か争われた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら