パナソニックプラズマディスプレイ事件(最二小判平21・12・18) 偽装請負で派遣先との労働契約を認めた高裁判断は 法違反でも「元」と雇用存続 ★
偽装請負で働く労働者が派遣先との雇用確認等を求めた。二審は、製造業解禁前の違法な派遣は脱法的な労働者供給であり、実態から黙示の労働契約成立としたため派遣先が上告。最高裁は、請負契約と評価できない場合は派遣に当たると判示。派遣法違反だけをもって「元」との労働契約は無効にならず、採用や賃金決定に関与していない「先」との契約成立を否定した。
黙示の合意を否定 労供にも該当せず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
上告人は、パナソニック株式会社等の出資による会社であり、平成16年1月当時、製造ラインでは、上告人の従業員と、上告人から業務委託を受けたパスコ株式会社等に雇用されていた者とが作業に従事していた。
被上告人は、平成16年1月、パスコと、契約期間を2カ月、賃金を時給1350円、就業場所を上告人茨木工場などとする雇用契約を締結し、上告人の従業員の指示を受けて、プラズマディスプレイ(PDP)の製造業務のうちデバイス部門の封着工程に従事した。契約は、2カ月ごとに更新され、被上告人は、17年7月までパスコから給与等を支給された。
被上告人は、平成17年4月、労働者派遣法等に違反しているとして、上告人に対し直接雇用を申し入れたが、回答が得られず、同年5月労働組合に加入した。
被上告人は、平成17年5月、大阪労働局に対し、本件工場における勤務実態は業務請負ではなく労働者派遣であり、職業安定法、労働者派遣法に違反する旨申告した。上告人は同年7月、同局から、パスコとの業務委託契約は労働者派遣契約に該当し、労働者派遣法に違反の事実があると認定され、上記契約を解消して労働者派遣契約に切り替えるよう是正指導を受けた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら