東和システム事件(東京高判平21・12・25) 非管理職の課長代理3人に計3000万円の残業代? 特励手当は代替の性格有す
SE3人が、課長代理の肩書を管理職とみなして残業代を支払わないのは不当と訴えた事案で、一審は総額約3000万円と付加金の支払いを命じた。東京高裁も一審を踏襲し経営者と一体的な立場にないと判示したが、管理職へ支払う特励手当は残業代の代替・補填の趣旨を持ち、重複支給しないと解するのが相当として割増賃金の算定額から除き約900万円に減じた。
算定額から差引く 重複支給は不合理
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、ソフトウエアの開発等を営む会社で、XらはシステムエンジニアとしてY社の従業員である。いずれも、旧職制上の課長代理の職位にあった。
Xらは、基本給の他に月額1万5000円の職務手当、月額基本給の30%相当額の特励手当の支給を受け、所定労働時間を超える残業については超過勤務手当の支給はなかった。Y社の従業員約430人のうち、課長代理以上の職位にあった者は約120人であった。
Y社では平成17年11月から新職制が施行され、それまでの課長補佐の職位の者は課長または副長とされたが、Xらはそのまま課長代理の職位と扱われた(職務手当および特励手当は支給されるが、超過勤務手当は不支給)。
Y社は平成20年11月、就業規則を改定し、Xらを課長補佐に任命し、それまでの管理職から非管理職とした(職務手当および超過勤務手当は支給されるが、特励手当は不支給)。
以前から、XらはY社に対して時間外手当および付加金等を請求して提訴していたところ、一審(東京地判平21・3・9)は、大要、以下のとおりの判決を下した。
①割増賃金の基礎より除外するものとしての労基法施行規則21条の費目は、…
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