日通岐阜運輸事件(岐阜地判平20・9・8) 基準未達で再雇用拒む、高年法の趣旨に背くか 一定の能力求めるのは当然
元従業員が60歳定年後の再雇用を拒否されたのは、高年法の趣旨に反するうえ、理由が明確でないとして無効を主張した。岐阜地裁は、法が希望者全員を採用すべきものとは解されず、会社は経営状態等から能率・効率の面で一定レベルに達した者を再雇用する必要があり、最低ランクの人事評価や過去2度の事故歴から、再雇用基準を満たさないとして請求を棄却した。
評価は最低ランク 過去2度の事故歴
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、貨物自動車運送事業等を行う株式会社で、原告は被告の従業員として稼働してきた労働者である。被告は就業規則において、定年を満60歳の誕生日に属する月の末日とすると定めており、原告は平成19年1月31日付で被告を定年退職した。
被告は、定年退職者の「再雇用規程(再雇用の基準)」を平成18年4月1日に制定し、同規程を同日から適用した。原告は、平成18年10月中旬か11月中旬ころ、被告のC業務部長から再雇用の意思の確認を受け、再雇用されて就労を継続する意思を表明したが、再雇用規程のうち、「品質関係基準」および「人事評価基準」をクリアーしないとの理由で再雇用を拒否された。
そこで原告は、(1)「品質関係基準」(「過去1年間で所属セクション内での順応、チームワークの維持に問題がないこと(再雇用基準第4条2項)」、「過去1年間で会社資産である車両、備品の取扱いに問題がないこと(第4条3項)」)について、①いずれも「ないこと」を要件としており、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら