アンフィニ事件(東京高決平21・12・21) 減産理由の雇止め無効だが期間短縮の再契約有効? 合意あっても更新の期待が
化粧品製造工場で働く請負労働者7人が、契約途中の雇止めは無効として賃金支払い等を求めた仮処分申請で地裁が却下したため抗告した。東京高裁は、発注者の減産通告を受け、期間を1年から2カ月に短縮する趣旨を十分に告げず労働契約を結び直したことは著しく不当と指摘。雇止めは信義則上許されないとして、当初の期間満了までの賃金を支払うよう命じた。
変更説明は不十分 満了までの賃金を
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
相手方(債務者)は、労働者派遣事業を主な目的とする会社であり、S社の鎌倉工場内に鎌倉事業所を設置している。
抗告人(債権者)らは、平成18年6月以降、相手方との間で有期雇用契約を締結し、相手方の社員として、本件工場で化粧品の製造に従事していた従業員である。なお、契約期間は概ね1年であり、最後に更新したものは平成21年1月1日~同年12月31日までとしている。
平成21年3月ころ、S社から相手方に対し、本件工場の勤務時間が変わり発注量の減少が見込まれる旨の通知がなされた。そこで、相手方は従業員と既に締結していた、期間を1年間とする契約を2カ月間に変更するとともに、同年4月9日、労基署と相談のうえ、整理解雇基準を入社半年以内の者および出勤率の低い者から順に20人(事業所所属の従業員の約3分の1)に満つるまでと決定した。
そして、同年4月10日ころ、契約期間を同年1月1日から同年5月31日までに変更する契約を締結したうえ、退職希望者の募集も行った。しかし、希望者が誰もいなかったため、相手方は、同年4月17日、抗告人らを含む22人を5月17日付で整理解雇する旨通知したほか、抗告人らのうち2人に対し、同年5月31日の期間満了をもって雇止めとする旨通知した。…
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