京都新聞COM事件(京都地判平22・5・18) 移籍した子会社での有期雇用は3年が上限と雇止め 例外も多く更新期待は当然 ★
京都新聞社の子会社の契約社員2人が、雇止めは不当として地位確認などを求めた。京都地裁は、雇用期間は長期に及び、契約満了時には翌年に継続する業務を担当しており、更新への期待は合理性があると判示。3年を超えて契約更新しない「3年ルール」は一定の合理性を有しているが、適用は厳格になされず周知も不十分で、雇止めは無効として賃金の支払いを命じた。
継続する業務担当 合理的な制度だが
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
株式会社京都新聞社は平成13年4月、社内にあった企画事業局、メディア局出版部の業務を京都新聞企画事業株式会社に委託するようになった。甲は平成13年6月1日から、乙は平成16年5月1日から、企画事業会社との間でそれぞれ雇用契約期間を6カ月、11カ月とする雇用契約を締結して企画事業会社で勤務し、雇用契約を数度更新した。
株式会社京都新聞COM(本件会社)は、平成18年4月1日、京都新聞社の事業部門である京都新聞の販売、広告等の各業務について、京都新聞社の委託により行うために京都新聞社の全額出資により設立された子会社で、企画事業会社の企画制作部の業務の一部は、同日から本件会社に承継されることになった。
甲と乙は平成17年4月1日に雇用契約を更新し、平成18年4月1日から本件会社で勤務することになった。本件会社に移籍後、平成19年4月1日、平成20年4月1日に契約を更新した。
京都新聞社と企画事業会社は「期間の定めのある雇用契約は3年を超えて契約更新しない」という3年ルールを実施してきた。本件会社の設立に伴い、企画事業会社から移籍してきた契約社員については、それまでの勤務は計算せずに改めて3年ルールを適用することにした。…
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