うつ病休職繰り返す教員を回復の可能性ないと解雇 メンタルヘルス対策に不備 J学園事件(東京地判平22・3・24)
2010.12.13
【判決日:2010.03.24】
進学校の高校教師が、うつ病休職を繰り返し職務遂行に支障があるとして解雇された事案。東京地裁は、業務起因性は認められないとしたうえで、教員として評判がよく、復職可能との診断があったところ、休職期間の適用解釈を誤り復職が早まったうえ、主治医の意見を聴取しない等、メンタルヘルス対策の不備もあったとして、解雇はやや性急で合理的理由を欠くとした。
医師から聴取怠る “やや性急”な判断
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Yは、中高一貫校を経営する学校法人である。
平成15年6月、Xが担任のクラスで生徒7人の携帯電話が盗まれる事件があり、その対応の中、Xは夜間よく眠れぬようになり、集中力や記憶力が低下してきたと感じるようになった。
同年11月には、心療内科Dクリニックを受診し、うつ病を発症しているとの診断を受けた。
平成16年9月、修学旅行等の行事が続いたことでXのうつ症状は悪化し、同年10~12月まで再びDクリニックに通院し、平成17年1月以降、Cクリニック(主治医A)を受診した。
平成17~18年度にかけて、YはXの体調に配慮し、担任から外したが、受け持つ授業の単位数は変わらなかった。Xは平成18年度の2学期が始まると、出勤が困難となり、9月13日、Aによる「うつ状態にて向後3カ間休業のうえ、静養加療を要する」旨の診断書を提出して休職した。さらに同年12月、平成19年2月にも休職期間を延長した。…
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平成22年12月13日第2804号14面 掲載