大庄事件(京都地判平22・5・25) 長時間労働が前提の勤務態様で居酒屋店員が過労死 会社法の賠償責任を認める

2010.12.20 【判決日:2010.05.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 居酒屋店員が、入社4カ月後に心不全で死亡したため親族が損害賠償請求した。京都地裁は、会社は残業が月80時間未満なら賃金控除するなど、長時間労働を常態化させており安全配慮義務違反と判示。役員らも善管注意義務として安全配慮義務を負うが、過重労働を招く不合理な体制を維持するなど、職務懈怠による損害であり会社法の責任を負うとして連帯で賠償を命じた。

役員の職務懈怠と 不合理な体制維持

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 原告らの子であるGが平成19年4月に被告会社に入社し、被告会社が運営する店舗で勤務していたところ、同年8月、急性左心機能不全により死亡したことについて、原告らが、原因は被告会社での長時間労働にあると主張して、被告会社に対しては不法行為または債務不履行(安全配慮義務違反)に基づき、被告会社の取締役であるC(代表)、D(専務)、E(常務・第一支社長)およびF(常務・管理本部長)に対しては不法行為または会社法429条1項に基づき、損害賠償を請求した。

判決のポイント

 Gの労働時間は、死亡前の1か月間では、総労働時間約245時間、時間外労働時間数約103時間、2か月目では、総労働時間約284時間、時間外労働時間数約116時間、3か月目では、総労働時間約314時間、時間外労働時間数約141時間、4か月目では、総労働時間約261時間、時間外労働時間数約88時間となっており、恒常的な長時間労働となっていた。

 Gの労働時間は…4か月にわたって毎月80時間を超える長時間の時間外労働となっており、Gが従事していた仕事は調理場での仕事であり、立ち仕事であったことから肉体的に負担が大きかったといえることからすれば、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成22年12月20日第2805号14面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。