東京都労委(A商店・団交拒否)事件(東京地判平20・9・18) 離職票発行遅延巡る団交拒否、労委が応諾命令 義務的交渉事項に当たらず ★
病気休職期間満了による雇止めについて、合意退職で裁判上の和解が成立した後、失業等給付に係る離職理由の調整で手続きが遅延し、これに関して要求された団体交渉拒否が不当労働行為に当たるとした都労委命令の取消しを求めた。東京地裁は、和解で労働契約は終了しており、離職票発行遅延による損害賠償を議題とする団交は義務的団交事項ではないとして、救済命令を取り消した。
和解で契約は終了 救済違法と取消す
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
原告Xは精密測定具等の販売を主たる業とする従業員数約20人の株式会社で、Cは平成12年7月にXに入社し、甲労働組合に加入していたが、同17年2月から病気休職するに至った。Xは同年8月1日の休職期間満了後に診断書の提出を求め、同月24日、就業困難と判断し、退職手続きを同月20日付で行った。
甲労働組合は、平成18年1月23日、都労委に対し、Cの病気休職はA専務の暴行によるものとして、解雇撤回等を求める救済を申し立てた。Cは、千葉地裁に、同年6月2日、地位保全等仮処分を申し立て、同年9月25日、以下の条項(抜粋)で裁判上の和解をした。
①労働契約を、平成18年10月3日をもって終了させることを合意する、②不当労働行為救済命令申立事件において、Xが、休職期間の経過によりCが退職したとの主張を維持することを妨げないものとし、…退職諸手続きはその効力を失わない、ただし、Xは、Cの求めに応じ、和解における労働契約終了日を前提とした離職票の交付に必要な手続きをとる。
XがCに送付した雇用保険被保険者資格喪失届および同離職証明書には、それぞれ「労働契約終了による」と記載されており、雇用保険の給付日数が180日ではなく一般の90日となるため、Cは、同年11月以降、数次にわたって「会社都合による退職」への訂正を求めたが、Xはこれに応じなかった。…
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