藤沢労基署長事件(最判平19・6・28) 一人親方への労災不支給、一、二審の判断不当? 法上の労働者と評価できず ★
2008.01.21
【判決日:2007.06.28】
作業場を持たず1人で工務店の仕事を請け負っていた大工が負傷し、労災申請したが不支給処分になったためその取消しを求めた事案の上告審。最高裁は、作業形態や専属性の程度から、工務店の指揮監督下で労務を提供していたと評価できず、報酬は、仕事の完成に対して支払われたものであり、事業者性が認められること等から原審の判断を是認した。
労務提供ではない 保険制度の対象外
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは、作業場を持たずに1人で工務店の仕事を請け負う形態で稼働する大工であり、A工務店等の受注したマンションの建築工事についてB木材工業が請け負っていた内装工事に従事していた際に負傷した。
① Xは、仕事の内容について、Bから寸法、仕様等に関してある程度細かな指示を受けていたが、具体的な工法や作業手順の指定を受けることはなく、自分の判断で工法や作業手順を選択することができた。
② 事前にBの現場監督に連絡すれば、工期に遅れない限り、仕事を休んだり、所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻前に作業を切り上げたりすることも自由であった。
③ Bは、Xに他の工務店等の仕事をすることを禁じていたわけではなく、またXがBの仕事を始めてから本件災害まで、約8カ月しかたっていなかった。…
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平成20年1月21日第2665号14面 掲載