京都市女性協会事件(京都地裁平20・7・9) 元嘱託が一般職と同一労働理由に賃金差額請求 同視すべき特段の事情ない
女性協会に嘱託雇用された相談業務を行っていた女性が退職後に、一般職員との処遇格差は憲法等に反するとして、差額賃金相当額の損害賠償等を請求した。京都地裁は、質の高い労務の提供を認めたが、一般社員と責任の度合いが異なること、世間の給与水準と比較してどの程度区別すれば適当か具体的事実がなく、一般職員と同視すべき特段の事情は認められないとし、訴えを斥けた。
労務の質は高いが 相応する水準不明
筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、男女共同参画等の実現に寄与することを目的とした財団法人である。
原告は、平成6年2月に、一度、被告に採用され、相談室立ち上げ作業の中心的な役割を果たす等したが、同12年3月、これまでの相談業務の経験を理論化したいとの思いもあって、被告を退職し、B大学院に入学した(同14年3月修了)。同16年4月、原告は、再度、被告に嘱託職員(週35時間契約)として就職し、相談係に配属された。
原告は、相談業務について、それまでの経験を生かしつつ工夫を行う等して、質の高い態様で行い、また講演等の企画を担当したり、外部との連絡会議に参加するほか、被告の事業の検証等にも関与した。
被告の常勤職員は、専務理事1人、一般職員11人、嘱託職員7人と数人のアルバイトで、相談係には、兼任の一般職員1人の他に一般職員はいなかった。また一般職員の給与規定には、昇給等について定められているが、嘱託職員の給与規定にはその都度、理事長が決定すると規定されているに過ぎなかった。…
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