関西金属工業事件(大阪高判平19・5・17) 「変更解約告知と整理解雇は別物」と主張し控訴 同日実施予定で実態は同一
労働条件変更後に再雇用する目的の「変更解約告知」の応募に応じない10人全員を解雇したことにつき、その必要性を争った事案の控訴審。大阪高裁は、解雇は同一の理由に基づいて同一の機会に行われており、削減を予定していた6人を選定せず、10人全員を解雇する必要性が主張立証されなかったことから、整理解雇と同様の要件が求められると判示。一審を支持し控訴を棄却した。
一審の判断を支持 削減数もオーバー
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Yは鈑金、金属の加工を業とする、工事用途照明器具、電撃殺虫器等の製造および販売を行う株式会社である。X1~X10は、昭和36~52年までにYに入社した正社員である。
Yは長年にわたりA社を主な取引先とし、平成4年には全社売上げ約50億円のうち95%以上がA社との取引であったが、平成13年には全社売上げは約13億円に減少し(それでもA社との取引は約95%)、平成14年11月30日には、A社との取引が解消した。そのため、更に売上高が低下した。
これに伴い、Yは、種々の経営改善策をとることとなり、平成14年、パート・嘱託従業員の雇止め(22人)、全従業員の一時帰休、役員報酬・管理職の賃金引下げを実施し、同年10月には勤続1年以上の全従業員を対象に希望退職募集を行い26人が退職するなどしたが、その後、平成14年11月から平成16年2月までほぼ毎月営業赤字を計上する状況であった。
そこでYは、平成16年3月より、新たな人員整理の提案を行ったが、その内容は、勤続30年以上の全従業員を対象に6人の希望退職を募集すること(本件希望退職募集)、…
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