O技術(労災損害賠償)事件(福岡高裁那覇支判平19・5・17) 契約関係ない孫請で労災、元請の安配義務は? 代理人通じ指揮監督関係に
2008.03.10
【判決日:2007.05.17】
土木工事の孫請会社で起きた労災事故を巡る損害賠償訴訟で、元請の関与度が少ないことを理由に安全配慮義務を否定した事案の控訴審。福岡高裁那覇支部は、元請は現場代理人を通じて孫請へ指揮監督する関係にあり、安全配慮義務を負うとし、作業の危険性は予見可能で、事故防止のための注意義務を怠った過失を認定、3割の過失相殺を行って請求を認容した。
具体的指示ないが 注意怠る過失あり
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
沖縄市が発注した本件工事を元請であるY社が受注し、Y社が同工事についてA社と、さらにA社はB社とそれぞれ請負契約を締結した。
現場代理人として元請Y社はD、下請のA社はF、孫請のB社はEをそれぞれ選任した。
Y社は沖縄市に対し、A社を下請業者として通知したが、B社を孫請業者とする通知をしていなかったため、DはEに対し、Y社の名前の入った作業服を支給し、本件工事現場の作業中は当該作業服を着用するよう指示し、Eはこれに従った。
B社は、亡一郎が所属する作業グループ(Z班)に対し、床堀した箇所にL型コンクリート擁壁を設置し、その後に埋め戻す作業を命じたところ、Eは工事の簡便さ、施工時間の短縮のため、仕切としてベニヤ板に代えて鉄板(重量800キログラム)を使用することとした。
亡一郎の所属グループは、鉄板を使用した埋め戻し作業を行ったことがなかった。…
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平成20年3月10日第2672号14面 掲載